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フリーランス確定申告、経費・青色申告で損してない?

フリーランス確定申告、経費・青色申告で損してない?



1. フリーランスにとって確定申告が重要な理由

フリーランスは会社員と異なり、自ら所得を計算し税金を納めます。正確な申告は、余計な税金の支払いを避け、経費や控除を最大限活用するための前提です。

1.1 会社員との違い:源泉徴収と自己申告

  • 会社員:給与からの源泉徴収+年末調整で完結するのが一般的
  • フリーランス:収入−経費−所得控除=課税所得を自ら算出し申告

1.2 確定申告の必要性:基礎控除と所得基準

  • 所得が48万円を超える場合、確定申告が必要
  • 48万円は、2020年の税制改正で38万円から引き上げられた基礎控除額に基づく
  • 出典:国税庁「基礎控除」 No.1199 基礎控除|国税庁

注意:税制は改正される可能性があります。最新情報は国税庁(https://www.nta.go.jp)で確認してください。

図解:確定申告が必要かどうかの判断フロー

flowchart TB
    A[フリーランスとして収入がある] --> B{所得は48万円超?}
    B -->|No| C[原則 確定申告は不要]
    B -->|Yes| D{給与所得あり?}
    D -->|Yes| E{給与以外の所得が20万円超?}
    E -->|No| C
    E -->|Yes| F[確定申告が必要]
    D -->|No| F

1.3 経費計上が節税につながる仕組み

課税所得=収入−経費−所得控除。適正な経費計上は課税所得を減らし、税負担を軽くします。


2. 経費とは?フリーランスが押さえる基本

  • 経費の定義:事業の収入を得るために直接・間接に必要な支出
  • 事業用と私用を明確に区別することが必須
  • 出典:国税庁「必要経費」 No.2210 必要経費の知識|国税庁

2.1 経費にできる/できない早見表

支出項目経費にできる経費にできない補足
PC・周辺機器-10万円以上は減価償却の可能性/青色なら少額特例あり
技術書・学習サービス-業務スキル・収益向上目的に限る
通信費(ネット・スマホ)○(按分)-国税庁は具体割合を明示していません。実態に基づく合理的按分と、根拠メモ(用途・時間・端末)を残すことが重要。(参照:国税庁「必要経費」「家事関連費」)
交際費○(取引先等)×(私的飲食)目的・相手・金額・日時を記録
交通費・宿泊費-業務上の移動・出張に限る
家族旅行・娯楽費-×主目的が私用なら不可

2.2 按分(あんぶん)の考え方:自宅兼オフィスなど

家賃・光熱費・通信費などの共通費は、面積・時間・使用状況に基づき合理的に按分。

  • 按分の具体例
    • 家賃:仕事部屋の面積が全体の25% → 家賃の25%を経費
    • 通信費:業務利用時間が全体の60% → 通信費の60%を経費
    • 電気代:仕事部屋の使用時間と面積を考慮して30%など

按分設定時は、業務利用時間・業務専用回線の有無・データ使用量など、説明可能な基準を一つ以上採用し、月次で簡易ログを残すと安心です。

図解:家賃10万円の按分イメージ

pie
    title 家賃10万円の按分
    "仕事部屋(25%)" : 25000
    "私用部分(75%)" : 75000

3. フリーランスエンジニア特有の経費例(独自性)

  • 認められるケース:本番環境のインフラ(AWS/GCP/Azure)、検証用サンドボックス、顧客案件の開発・運用で不可欠なSaaS(Vercel/Firebase/監視SaaS)、コラボ・設計ツール(Figma/Notion/Slackの有料版)等。請求先と案件の紐づけや用途メモがあると説明しやすい。
  • 認められないケース:純粋な学習目的や私的利用のみの契約。業務関与のない個人ブログの趣味運営などは経費算入が難しい。
  • ケーススタディ:受託案件AのAPI基盤をVercelにデプロイ(月3,000円)。契約書・請求書・デプロイ履歴のスクリーンショットを保存し、案件名で科目補助を設定=経費計上の合理性が高まる。

4. 経費にできない支出の具体例とグレーゾーン

代表例判断の目安補足
私的な食事・日用品×私用と業務の混在を避ける
家族旅行・娯楽費×業務目的が主でなければ不可
事業無関係の交際費×相手・目的の事業関連性が説明可能かが鍵
仕事兼私用のガジェット利用実態に即して按分・根拠メモを残す

5. 減価償却・少額資産の取り扱い(実務で迷いがちな論点)

  • 10万円未満:原則その年の必要経費
  • 10万円以上20万円未満:一括償却資産(3年均等)を選択可
  • 青色申告の特例:30万円未満まで即時償却(年間合計300万円上限)
  • 高額資産(PC・カメラ等)は耐用年数に沿って減価償却

図解:減価償却/一括償却/少額特例の判定フロー

flowchart TB
  A[資産購入] --> B{取得価額はいくら?}
  B -->|< 10万円| C[当年の必要経費]
  B -->|10〜20万円未満| D[一括償却資産(3年均等)も可]
  B -->|20〜30万円未満| E{青色申告?}
  E -->|Yes| F[少額減価償却資産の特例(当年全額; 年間上限あり)]
  E -->|No| G[通常の減価償却(耐用年数)]
  B -->|30万円以上| G

内部リンク:設備投資の経理処理ガイド(No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|国税庁) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5408.htm


6. 青色申告と白色申告の違い(メリット・手続き)

6.1 比較早見表

項目白色申告青色申告
帳簿付け簡易複式簿記推奨
青色申告特別控除なし10万円 / 55万円 / 65万円(条件により)
65万円の条件-e-Taxによる申告 または 電子帳簿保存
赤字の繰越不可3年間可能
専従者給与制限あり必要経費に算入可(要手続)
手続き申請不要開業届+青色承認申請が必要

6.2 65万円控除の「条件」と「注意点」

65万円の青色申告特別控除を受けるには、複式簿記による記帳、貸借対照表等の添付に加え、e-Taxによる申告または電子帳簿保存のいずれかを満たす必要があります。 青色申告特別控除を受けられる金額は、適用要件に応じて10万円、55万円、65万円の3種類に分かれます。提出前チェックを徹底しましょう。(出典:国税庁「青色申告特別控除」)

図解:控除額判定フロー

flowchart TB
  A[青色申告承認済み?] -->|No| B[10万円控除の可能性]
  A -->|Yes| C{複式簿記で記帳しBS/PL添付?}
  C -->|No| B
  C -->|Yes| D{e-Tax提出 or 電子帳簿保存?}
  D -->|No| E[55万円控除]
  D -->|Yes| F[65万円控除]

6.3 手続き(期限注意)

  • 開業届と青色申告承認申請書を所轄税務署へ提出
  • 原則:その年の3月15日まで(1/16以降開業は開業日から2ヶ月以内)

出典:国税庁確定申告書等の様式・手引き等(令和6年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁

内部リンク:「フリーランスのための青色申告」 (https://freelance.kantan-aoiro.net/)

7. 実務フロー:初めてでも迷わない

  1. 日々の支出を記録(領収書・レシートの即時保存)
  2. 会計ソフトで仕訳入力(勘定科目と按分の設定)
  3. 集計・確認(売上・経費・控除の漏れチェック)
  4. 確定申告書の作成(e-Tax推奨)
  5. 期限内提出と控えの保存

図解:確定申告の流れ × TrackWorksサポート

flowchart TB
    A[日々の支出を記録] --> B[会計ソフトで仕訳入力]
    B --> C[経費・収入を集計]
    C --> D[確定申告書を作成]
    D --> E{提出方法}
    E -->|e-Tax| F[オンライン提出]
    E -->|紙提出| G[税務署へ持参/郵送]

    %% TrackWorks CTA
    B --> H[TrackWorks: 会計ソフト連携サポート]
    C --> I[TrackWorks: 経費管理チェックリスト提供]
    D --> J[TrackWorks: 青色申告サポート資料DL]

8. 領収書・レシートの管理と電子帳簿保存法

帳簿の保存期間は原則7年、書類は5年等とされていますが、帳簿・書類の種類や改正により異なる場合があります。電子取引データは電帳法の要件に従った電子保存が原則です。最新要件は国税庁の公式情報をご確認ください。

内部リンク:電子帳簿保存法の実務対応https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/index.htm

出典:国税庁「確定申告」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/


9. 節税のポイント(チェックリスト付き)

  • 小規模企業共済・iDeCoの活用(掛金が全額所得控除)
  • 家事按分を合理的に設定(面積・時間・業務実態で根拠を明記)
  • 経費計上漏れを防止(カード明細・口座の自動連携で定期チェック)
  • 青色申告の65万円控除条件を満たす(複式簿記+e-Tax/電子帳簿)

図解:節税チェックリスト

flowchart TB
    A[節税チェックリスト] --> B[小規模企業共済に加入しているか]
    A --> C[iDeCoを活用しているか]
    A --> D[家事按分の根拠をメモで残しているか]
    A --> E[カード・口座連携で漏れ防止できているか]
    A --> F[青色申告65万円の条件を満たしているか]

節税チェックリスト https://kessan.money-c.com/main_contents/menu_01/column_3-2.html)


10. よくある質問(FAQ)

  • Q. 副業エンジニアも確定申告が必要?
    A. 所得税は、給与以外の所得が20万円以下の場合に申告不要となるケースがありますが、住民税は別途申告が必要な場合が多い点に注意してください。会社への通知を避けたい場合、住民税の「普通徴収」を選択できる自治体もあります(対応は自治体により異なるため事前確認が必要)。いずれも最新の自治体案内をご確認ください。
  • Q. 領収書をなくしたらどうする?
    A. 取引先からの再発行依頼や、支払先・金額・日付・用途を記した出金伝票で補足するなど、合理的な証憑の整備に努めてください。
  • Q. 経費か迷ったら?
    A. 「収益獲得のために必要か」「私的利用の割合は無視できるか」を基準に判断。グレーは按分と根拠のメモを残す。
  • Q. 青色申告への切替タイミングは?
    A. 原則3/15まで(1/16以降開業は開業日から2ヶ月以内)。業務開始初年度から準備すると効果が出やすいです。
  • Q. 会計ソフトはどれが良い?
    A. 自動連携・レシート読取・e-Tax対応を基準に選定。TrackWorksで導入・初期設定をサポートします。

内部リンク:FAQ拡張版 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kokusai/crs/faq.htm

11. まとめ:正しく備えて、賢く節税

  • 経費と按分の考え方を押さえるだけで、税負担は大きく変わります
  • 青色申告の65万円控除を満たす体制づくり(複式簿記+e-Tax/電子帳簿)を
  • 迷ったら専門家サポートの活用を。

参考文献(エビデンス)

注記:税制・保存要件は改正される場合があります。申告前に最新情報を必ずご確認ください。

初回公開日2025.9.30
更新日2025.9.30

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